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田代 信介; 内山 軍蔵; 大野 卓也; 天野 祐希; 吉田 涼一朗; 阿部 仁
Nuclear Technology, 208(7), p.1205 - 1213, 2022/07
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)再処理施設の溶媒火災事故時の高効率粒子除去エア(HEPA)フィルタの目詰り挙動を調べた。本研究では、30%リン酸トリブチル(TBP)/ドデカン混合溶媒ならびにドデカンの燃焼速度と国内の実施設の換気系で用いられている多風量型HEPAフィルタの差圧変化を測定した。この混合溶媒の燃焼の初期段階では主にドデカンが、後期段階では主にTBPが燃焼することを確認した。また、混合溶媒燃焼の後期ではHEPAフィルタの差圧の急激な増加が生じることが分かった。浮遊粒子の経時的な放出割合において、未燃の粒子成分(TBP, TBPの分解による劣化溶媒ならびに無機リン化合物(PO))の割合の経時的な増加がフィルタの急激な差圧増加に影響したものと考えられる。混合溶媒燃焼時にHEPAフィルタの急激な差圧増加に至る前までの、差圧とHEPAフィルタへの浮遊粒子の負荷重量の関係を表す実験式の導出を行った。
日高 昭秀
Proceedings of 2021 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP 2021) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2021/10
福島事故時に放出されたType Aガラス質Cs含有微粒子の生成機構として、3号機の水素爆発時に非常用ガス処理系のHEPAフィルタ材(グラスファイバ: GF)が溶融・微粒化した可能性を指摘した。本検討では、EPMAを用いてType Aを覆うSiOとGFの構成元素を調べた。その結果、両者の元素は、炉内で生成してHEPAフィルタに運ばれた微粒子中に含まれていたと考えられるCs, Fe, Snを除き、ほぼ一致していた。また、高真空下でGFにEPMAの電子線を照射すると、数ミクロンの球形粒子が容易に生成した。これらはType Aが水素爆発の火炎で生成したことを強く示唆している。さらに、水素爆発直後に重力ダンパが閉じて、ダンパ前が亜真空、ダンパ後が大気圧となって粒子表面温度やSiO表面張力に差があったことが球形と非球形の微粒子を生成させた可能性を示し、Type Aの生成機構を詳細化した。
日高 昭秀
日本原子力学会誌ATOMO, 63(9), p.679 - 680, 2021/09
福島第一原子力発電所事故時に放出されたタイプA難溶性Cs含有微粒子(以下、Cs微粒子)の生成機構について、様々な議論がなされてきた。筆者は、3号機の非常用ガス処理系のHEPAフィルタが水素爆発時に溶融して微粒化により生成したと考えてきたが、2020年11月に同フィルタ室が解体され、その是非がまさに確認されようとしている。本稿では、筆者が考える生成機構について紹介するとともに、現在、原子力規制委員会で行われている福島事故の分析に係る検討会で、まもなく明らかになる同フィルタの解析結果に対する期待を述べる。筆者の仮説が正しいとした場合、Cs微粒子の生成は、まさに原子炉側と環境側の学際領域で起きており、生成機構解明が遅れた一因となったと考える。Cs微粒子の生成を防ぐためには、水素爆発の防止はもちろん、HEPAフィルタに対して何らかの燃焼防止対策を講じることが望まれ、それによって原子力発電所の安全性がさらに向上することが期待される。
塚本 導雄; 高田 準一; 小池 忠雄; 渡邊 浩二*; 宮田 定次郎*; 西尾 軍治*; 村田 幹生*; 内山 軍蔵
JAERI-Tech 2001-031, 47 Pages, 2001/03
再処理溶媒(溶媒)と硝酸との異常化学反応に起因した爆発は、再処理施設のDBAに選定されている。そこで、原研では爆発がプルトニウム濃縮缶で起きた場合を想定し、セル換気系の安全性とHEPAフィルタの健全性が確保できることを実証するため、溶媒と硝酸とを反応容器に貯え、密封し、種々の加熱条件下で生成した硝化溶媒(TBP錯体等)を急激に熱分解させて、爆発を誘起させるニトロ化溶媒爆発試験を実施した。試験の結果、以下に述べる知見を得た。硝化溶媒の熱分解により溶媒1kgが噴出して爆発を起こした場合、実験的方法により導出した最大質量放出速度と最大エネルギー速度は、0.59[kg/s]と3240.3[kJ/kg・s]である。この爆発による波及がセル換気系に与える影響は小さく、HEPAフィルムの健全性が確保できることを実証した。
高田 準一; 鈴木 元衛; 塚本 導雄; 小池 忠雄; 西尾 軍治*
JAERI-Tech 96-054, 237 Pages, 1996/12
原研では、再処理施設の安全性研究の一環として、溶媒/硝酸の急激な熱分解反応に起因した爆発的燃焼が再処理施設のセル内で起こった場合の安全性実証試験をセル、ダクト、ダンパー、HEPAフィルタ及び排風機からなる大型装置を使用して実施した。実証試験では、セル換気系内の圧力上昇の影響を調べるため、加圧したタンクから装置のセル内に空気を吹き込み、装置内を通過する圧力応答を測定した。その結果、有効な圧力減衰が装置内のセルやダクトの配置により与えられた。また、実証試験ではHEPAフィルタや排風機の健全性を調べるために、空気の吹き込みによりHEPAフィルタや排風機の過渡応答を調べた。その結果、HEPAフィルタと排風機の健全性は圧力負荷において十分であった。この報告書に記載された内容は、再処理施設で爆発的燃焼が起こった場合のセル換気系の安全評価に資することができる。
高田 準一; 鈴木 元衛; 塚本 導雄; 小池 忠雄; 西尾 軍治
JAERI-Tech 95-024, 339 Pages, 1995/03
原研では、科学技術庁の委託を受けて、再処理施設のセル内で想定される急激燃焼がセル換気系の安全性に与える影響について大型試験装置による安全性実証試験を実施した。再処理施設では、溶媒と硝酸の急激な熱分解反応による爆発的な燃焼を想定している。本実証試験では、再処理施設モデルプラントのセルやダクトを模擬した試験装置を用いて、セル内で溶媒のミストや熱分解ガスが爆発的に燃焼した場合を想定して、固体ロケット燃料を燃焼させ、爆燃領域の爆圧や温度上昇の影響がセル換気系内を伝播・減衰する挙動を明らかにした。この報告書に記載された試験データは、セル換気系の放射性物質閉じ込め安全性解析コード(CELVA)の検証に利用されることを念頭において整理された。
阿部 仁; 西尾 軍治; 内藤 俶孝
JAERI-M 93-220, 107 Pages, 1993/11
再処理施設の事故時安全性を評価する目的で事故解析コードTRANS-ACEの開発を進めている。TRANS-ACEには、米国ロスアラモス国立研究所で開発された1次元熱流動解析コードEVENTの機能に、ソースターム解析機能、壁面への放熱計算機能さらにHEPAフィルタ捕集解析機能が付加されている。今回の作業では、初期定常状態設定時に対する流量による収束判定機能の追加、フィルタ・ブロアの初期流動抵抗自動計算機能の追加さらに入力データ形式の整理・簡素化、の3点について改良を行った。本報告書は、改良を行った第2次版TRANS-ACEの使用手引書であると同時にコードの解析機能解説書でもある。
加藤 一憲*; 宮原 信哉
PNC TN9410 93-282, 92 Pages, 1993/10
高速増殖炉では、事故時に発生する放射性物質が格納施設内から環境中へ漏出するのを防ぐため、その雰囲気をフィルターで浄化している。高速増殖原型炉「もんじゅ」では、鋼製の格納容器とその外側のコンクリート製格納施設の間にアニュラス部を設け、常時その雰囲気をフィルターで浄化しながら負圧に維持することによって、放射性物質の環境中への漏出を防止している。このアニュラス循環排気系に設けられたフィルターは粒子状物質を補集するためのエアロゾルフィルター(多層式、中性能、HEPA)とガス状ヨウ素を補集するためのチャコールフィルターから構成されている。これらの補集効率等についてはエアロゾルフィルターについてはナトリウムエアロゾルを使用した試験によって、チャコールフィルターについては単体ヨウ素(I2)とヨウ化メチル(CH3I)を使用した試験によって、各々の性能が既に確認されている。しかし、ガス状ヨウ素についてはエアロゾル用フィルターによっても補集されることが報告されており、また、ナトリウムエアロゾル環境下ではそれがさらに加速される事も考えられる。そこで将来炉に向けた国の安全研究年次計画の一環としてナトリウムエアロゾル環境下におけるガス状ヨウ素のエアロゾルフィルターとチャコールフィルターによる補集効率に関する試験を実施した。その結果ナトリウムエアロゾルとガス状ヨウ素(I2)が混在する条件下において、エアロゾルフィルター、チャコールフィルターが実機で期待する性能を有していることが確認された。また、この条件下においてガス状ヨウ素(I2)はエアロゾルフィルターで良く補集される(99%以上)ことがわかった。これにより、ガス状ヨウ素(I2)がエアロゾルフィルターで補集される効果が、フィルター性能評価上十分期待できることが明らかとなった。
西尾 軍治; 鈴木 元衛; 高田 準一; 小池 忠雄; 塚本 導雄
JAERI-M 93-019, 209 Pages, 1993/02
原研では、科学技術庁の委託を受けて、再処理施設のセル内で想定される急激燃焼がセル換気系に与える影響について大型装置による安全性実証試験を実施した。実証試験では、再処理施設の抽出工程において想定されるセル内溶媒火災の状況と火災に伴うボイルオーバー燃焼の挙動を把握した。試験では、再処理モデルプラントを模擬した試験装置を用いて、溶媒火災時の定常燃焼の状況と煤煙によるHEPAフィルタの目詰り効果を調べた。さらに、溶媒火災時に発生する爆発的なボイルオーバー燃焼の挙動を調べ、燃焼の規模を明らかにした。この報告書に記載された試験データは、セル換気系安全性解析コード(CELVA)の検証に利用されることを念頭において整理された。
池沢 芳夫; 松井 浩; 吉田 芳和*; 横地 明*; 甲野 啓一*; 笠置 徹*; 武田 隼人*; 三上 壮介*
Aerosols: Science,Industry,Health and Environment,Vol. 2, p.786 - 789, 1990/00
核燃料取扱施設において、HEPAフィルタシステム全体の総合捕集性能が設計値を保持していることを現場試験によって確認することは、排気浄化設備の安全性と信頼性を高める上で重要なことである。しかし、HEPAフィルタを2段またはそれ以上に設置した場合の総合捕集性能については、いくつかの評価上検討すべき点が存在している。そのため、これらの点を解決し、わが国における総合捕集効率の評価の精度を向上し、統一を図るためその技術基準を作成したので、その概要を報告する。
佐藤 元昭; 安西 新治*; 田村 貢大*; 田所 則男; 岩本 貞雄; 三戸 規生
JAERI-M 82-024, 33 Pages, 1982/03
・圧縮装置IIは、廃棄物パッケージ発生数の低減を目的として設置され、圧縮機、フィルター破砕機、脱水機および分類用ボックスで構成されている。各機器は、下記の機能と目的をもっている。1)圧縮機;金属などの不純物を圧縮する。2)フィルター破砕機;HEPAフィルタの木砕をメディアと分離し、焼却のために木砕を切断する。3)脱水機;含水物を焼却のために脱水する。本装置設置後2年の運転で、次の結果を得た。1)金属廃棄物のパッケージ数が1/4になった。2)HEPAフィルタのパケージ数が1/4になった。3)含水物の焼却が容易になった。4)物性的に安定なパッケージができるようになった。5)焼却の効果もあり、パッケージの発生数が30%減った。
阿部 仁
no journal, ,
PUREX法を用いた再処理では、リン酸トリブチル及びドデカンを用いた溶媒抽出によって、ウラン及びプルトニウムをその他の成分から分離し精製する。現在の商用工場に一般的と考えられる安全対策、網羅的に行われた六ヶ所再処理施設の設計基準事象の選定及び改訂された炉規法の重大事故に関する定義を参考に、検討対象シビアクシデント(SA)事象の一つとして、セル内有機溶媒火災を取り上げ、影響評価方法に関する現状の整理、課題の把握及び課題解決の方法について、客観的かつ専門的視点から検討を行った。
萩原 大樹; 井元 純平; 日高 昭秀
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故時に環境中に放出されたType Aの不溶性Cs粒子は、3号機SGTSのHEPAフィルタ材が水素爆発時に微粒化して生成した可能性が示されたことから、EPMAを用いてType Aを覆うケイ酸ガラスとフィルタ材の構成元素を調べた。その結果、SiとZnの組成比の傾向がほぼ一致し、フィルタ材がType AのSi源である可能性が示唆された。
日高 昭秀
no journal, ,
福島第一原子力発電所事故時に環境中に放出された、不溶性放射性セシウム粒子(Type A)の生成過程を推定することは、事故進展を解明する上で有用である。著者は、Type Aの起源として3号機のHEPAフィルタ(グラスファイバ: GF)が水素爆発時に溶融・微粒化して生成した可能性を指摘した。その場合、活性炭フィルタやGFのバインダ中の炭素がType A粒子とともに存在する可能性が高い。しかしながら、従来の観測では、粒子の固定用にカーボンテープを用いてきたため、炭素の同定が難しかった。本研究では、電子線マイクロアナライザ(EPMA)とカーボンテープ以外の試料台を用いて炭素の観測を行った。その結果、Type Aの炭素量は、バインダ起源と考えられるGFの炭素量と類似していた。これは、著者が主張する仮説と矛盾しない。炭素の情報と他の構成元素との関係を注視しつつ、生成過程の更なる解明に取り組んでいく。